チュニジアの若者の現状〜ジャーナリストへのインタビュー

チュニジアは「アラブの春」以降、唯一政治的果実として新たな憲法制定と選挙がおこなわれた国として知られています。昨年3月には、2回目の世界社会フォーラムがチュニスで開催され、ATTAC関西の会員も参加しました。

一方で、ISに参加している若者の数が中東・北アフリカで最も多いとされ、国内でも昨年3月の博物館襲撃テロ、最近のリビア国境沿いの兵舎襲撃なども起こっています。

CADTM(第三世界債務帳消し委員会)のニュースレターに掲載されたリム・ベン・フラージュさんへのインタビューを紹介します。リム・ベン・フラージュさんは、31歳の女性で、チュニジアのブロガー、翻訳者、フリージャーナリスト、翻訳者集団「トラスカラ」のメンバーです。このインタビューでは、チュニジアの若者がおかれている現状が語られています。

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Q:チュニジアの若い世代にとっての主要な問題は何ですか?

A:経済的、社会的、政治的、文化的疎外です。

革命に参加した若者たちは、議会や政府に自らの代表を持っていません。そして少なくとも25万人の職がない大学卒業生がいます。いくつかの地域では、若者の失業率は80%に達しています。

思い浮かぶ唯一の選択肢である非合法的移民は、地中海におけるフロンテックス(欧州対外国境管理協力機関)の電子的障壁によって不可能となってきています。(訳者注:フロンテックスは、EU資金によるシーホース先進衛星システムを使用して、チュニジアからの移民を載せた船舶を追跡している)

「ダーイッシュ」(IS)によるリクルートを拒否する若者にとって、唯一の選択肢は革命を起こすことです。しかし、たとえ彼らが革命を起こしても、国は彼らの要求をかなえることができません。チュニジアへの借金のために世界銀行が押し付ける条件の一つが、公共部門で新たな雇用を行なわないことだからです。

加えて、失業中の大学卒業生の多くは、(受けた教育の)レベルがかなり低いのです。これはベン・アリ元大統領の政策、つまり高校から大学への入学を簡単にすることで、人間開発指数におけるチュニジアのランクを上げようとする政策に起因しています(訳者注:各国を人間開発の4段階に順位付けするために用いられる平均余命、教育及び所得指数の複合統計で国連が算定する)。教育を少しずつ民営化していることや腐敗が拡大していることが状況をさらに悪化させてきました。

これにより利益を得ているのは、二つのセクターです。つまり、EUを中心にする多国籍企業とアメリカ・ドイツに起源を持つ財団です。

多国籍企業は、ヨーロッパ市場に近いところで安価な熟練労働力を得ました。一方、財団は(人権、市民、女性の地位向上、起業、市民メディアなどの名目で)影響力のあるプログラムを遂行するために、チュニジア人職員を募集しています。

実際に、もし25歳でバカロレア成績が+3で、仕事を探していれば、コールセンターで週6日働いて300ユーロの月給を得るか、契約や社会保障適用のないまま、財団で400から500ユーロの月給で働くか、どちらかを選ぶことになります。ダーイッシュもほぼ同じ給料を支払います。わが議員たちは歳費値上げを投票で決め、月2000ユーロもらえるようになります。

社会的に疎外された若者は日常的に警察から嫌がらせを受けています。暴力、恣意的な拘束、拷問、虐待など、警察のやり方はベン・アリ政権時代とほとんど変わっていません。一言で言えば、貧しい人々への侮蔑を意味するHOGRAがおこなわれているのです。二つの例を紹介しましょう。

第一の例:内陸部のカセリン、ガフサ、ジェンドゥバ出身の若者は、チュニスのダウンタウンにあるブルギバ通りで警察に逮捕され、身分証明書で出身地やチュニス出身でないことがわかると、一番ましな場合には取り調べを受けて「故郷に」帰るよう命令されるだけだが、一晩留置場に勾留されることも多い。彼の父がかつて「この国ではどこに行くにもビザが必要だ」と話したように。

第二の例:30歳の女性が深夜タクシーで帰宅するとき、一人であっても連れがいても、警官に止められて「なぜこんな時間にまだ家に帰ってないのか」と質問される。そして、もし彼女がバーからの帰りだったとすると、道徳心のある警官を演じて彼女をいたぶる。「両親はお前が酒を飲むことを知っているのか?一緒にいる男は誰か?そいつと一緒に家に帰るのか?父親の電話番号を教えろ。お前が酔っていることを言ってやる。お前を売春罪で拘束できるんだぞ。」警官の一人は犠牲者を脅すために何か書いているふりをする。もし彼女がお金を持っていれば、20ディナール紙幣を渡すと、警官が喜んで去っていく。もしお金がなければ、放免してもらうために一時間は乞い続けなければならない。

(続く) 

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