ユーロ圏財務相会議への書簡〜ギリシャ債務危機の解決は債務帳消し以外にはない

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新聞報道によれば、ユーロ圏財務相会議(ユーログループ)が終了し、ギリシャへの財政支援を続けることで合意したとのことです。

「欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会合は25日未明(日本時間25日朝)、金融支援中のギリシャに対し、103億ユーロ(約1兆2600億円)の融資枠を設けることを承認した。債権団が求めていた財政改革をギリシャが実行したことを評価した。ギリシャは秋までの資金繰りにメドがつき、2015年夏のような財政危機の再発はひとまず回避できる見通しだ。」(日本経済新聞)

しかし、その融資枠設定は結局はギリシャに資金を貸し込んでいるヨーロッパの銀行への返済資金となることが明らかです。債務の軽減も2018年以降に検討するとしただけです。ギリシャ国民には緊縮政策による耐乏生活を強要し、銀行を救済するだけになるでしょう。

この財務相会議に先立って、ヨーロッパの債務帳消し運動を進めてきた団体は連名で書簡を送り、ギリシャ債務帳消しを強く求めました。以下、書簡の日本語訳です。

ギリシャ債務帳消し市民社会からユーログループ作業部会ならびにユーログループへ宛てた手紙

2016年5月19日

 

ユーログループならびにユーログループ作業部会メンバー気付

 

 昨年秋、私たちの組織のいくつかは、ヨーロッパ15カ国の53団体が支持し、10万人以上が個人署名した、ギリシャの債務帳消しを求める要望書を手渡した。要望書はまた、押し付けられた緊縮政策の撤回および債務危機をただちに解決する公正で人権に配慮した新たな国際ルールを求めた。私たちはそれゆえ、ギリシャ債務問題に取り組むことが最終的に議題となったことを歓迎する。しかし、私たちは5月9日のユーログループ最終会合で提示された提案草案に憂慮している。示された債務再整理方法はギリシャ債務問題を速やかに持続可能な手段で解決するには全く不十分である。いわゆる事故防止メカニズムが民主主義的な決定作成過程を脇に追いやり、ギリシャが経済ショックに襲われた時、危険な負のスパイラルの引き金を引くことになる。

 さらに、償還延長を含む異なる再整理オプションという三方面からのアプローチは、遠い未来までギリシャ債務危機の具体的な解決を先延ばしするものである。この遅延は関係するいかなる合法政党にとっても最良の利益にならないと信じている。逆に、この作業は「あまりに少なく〜あまりに遅い」債務再編成という政治的に駆り立てられた遅延のもう一つの事例となる恐れがある。そのような遅延は、世界中の他の債務危機の場合と同様に、すでにギリシャに甚大な被害を与えた。

 1980年代以来の途上国債務危機からはっきりしたことは、債務再整理による債務超過処理の試みは国々に持続不可能な債務負担を負わせ、発展を数十年も遅らせたということである。実際に債務帳消しすることによってのみ、債務超過を解決し成長を取り戻すことができるのだ。ギリシャに関して言えば、状況は変わらないだろうと結論付けるのは公平なことである。それゆえ私たちはギリシャ債務の主要な部分は帳消しされるべきだという私たちの要求を繰り返す。

 そのような作業の負担がヨーロッパの納税者に襲いかかるというのは実に不幸なことだ。これは明白に、以前は民間債務だったものを公的な賃貸対照表に付け替え、公的資金で銀行を救済するという従前の決定の帰結である。いくつかの研究によれば(そのうち最新のものはベルリンのヨーロッパ経営技術学校による)、トロイカによる融資の95%は古い融資返済およびヨーロッパやヨーロッパ外の銀行救済のために使われてきたとのことである。もしそうならば、ギリシャ市民に返済の負担を負わせるように求めるのは不当である。

 しかし私たちは、ギリシャ債務危機は、ヨーロッパの納税者や公的予算の負担を最小限にしたやり方で解決されるべきであるとした何人かの財務大臣と立場を共有する。それゆえ私たちは、ヨーロッパの金融商品補償と債務帳消しの資金調達のため、救済から利益を得た銀行から資金を回収しなければならないという私たちの要求を再度繰り返したい。ユーログループ作業部会は、ただちにこの回収作業のために技術的提案の開発に着手しなければならない。

 私たちは、EUの核心的価値を反映し、民主主義を尊重し、結束と団結を促進し、人権を何より保障するようなギリシャ債務危機の解決策を、ユーログループ作業部会が開発し、さらにユーログループが承認することを信じている。

 

敬具

 

Attac Finland, Attac Ireland, Both Ends, Bretton Woods Project, CADTM - Committee for the Abolition of illegitimate Debts, Centre national de coopération au développement CNCD-11.11.11, Debt and Development Coalition Ireland, Ecologistas en Acción, Ekumenická Akademie, Enabanda, Erlassjahr.de – Entwicklung braucht Entschuldung, Eurodad - European Network on Debt and Development, European Information Human Rights Centre, Jubilee Debt Campaign UK, Společenství Práce a Solidarity, War on Want, Zukunftskonvent

 

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