ATTAC関西緊急学習会報告(その4)〜質疑応答

ATTAC関西緊急学習会の報告最終回は、ウォーデン・ベロさんの講演後に行われた質疑応答です。

(質疑)

Q:麻薬蔓延の状況は?

A:貧しい人々、スラムで広く使用されている。ドゥテルテによれば300万人が麻薬中毒。別の調査では、150~150万人。麻薬の害毒は言われるほど大きなものではない。麻薬と犯罪が連想されて語られるので、犯罪が起きると麻薬常習者がやったに違いないと考える。

Q:ドゥテルテは、WTO批判など、どこまでわかってやっているのか?

A:WTOについて、ドゥテルテが書いていること、言っていることにびっくりした。彼は非常に良く理解している。WTOからの脱退は考えておらず、WTOからフィリピンを守ろうとしているように見える。どうなるかは不明だが。

Q:フィリピンは農業国なのか、工業化しようとしているのか?大卒後の仕事がないと聞くが本当か?

A:海外での出稼ぎ労働者、特にアジア・中東での家事労働者にドゥテルテの強力な支持者が多い。その人たちは、家に家族を残しているので、子どもたちが麻薬に染まらないか心配していて、ドゥテルテを支持している。経済構造では、雇用の45%は農業。貿易自由化のため、農業のさまざまな分野が破壊されてしまった。そこに問題が集積している。工業も自由化によって競争に負けてつぶれていっている。新しい産業分野もあるが、多くが組立工場で、日本等へ輸出されている。トヨタ、三菱など、自動車の特定の部品だけを作っている。もう一つの新しい産業としてコールセンターがあるが、低賃金でアメリカ企業のためのコールセンターである。貧困率は22~23%。格差が最も大きい。ジニ係数は4.4くらい。人々は30年にわたる民主主義体制の結果に失望している。

Q:共産党指導者のシソンとドゥテルテとの繋がりはあるのか?

A:ドゥテルテは今でもシソンを共産党在外の指導者であると考えている。フィリピン左翼は、ドゥテルテ登場以前から危機にある。

Q:麻薬戦争について、フィリピン左派の中でどういう論議があるのか?

A:すべての左派は、ドゥテルテを支持している左翼も含めて、麻薬戦争での法によらない処刑を非難している。共産党は内閣に入っていて、ドゥテルテと政策協定を結んでおり、それに拘束されている。このままなら、矛盾が大きくなり、人権を擁護してきた人々の間で支持をなくす可能性がある。

Q:選挙の敗北についてのアクバヤンの総括は?

A:(アクバヤンは当初アキノ政権に参加していた)アクバヤンは戦略的失敗をした。連立にとどまったことが間違った方針だった。

Q:中国との関係について、仲良くしようというのはどういう戦略を持っているのか?

A:中国との関係改善は、彼が個人的、イデオロギー的に反米であること、アキノがあまりに親米だったこととの違いを際立たせることに起因している。西フィリピン海問題では新しいやり方を考えているのではないか。ハーグでの決定をいったん棚上げして新しい関係を作ろうとしていると考えられる。アメリカと軍事協力関係を絶とうとはしていない。もっとクールに考えている。一つ驚くべきことは、フィリピンでアメリカと距離を置こうとする動きに反対することへの批判はない

Q:フィリピンでの女性の運動、フェミニズムの現状は?ドゥテルテからの弾圧はないのか?

A:女性の運動は、抵抗の運動の前線に立っている。女性差別に声を上げている。ガブリエラは共産党に近い組織だが、ドゥテルテの女性差別に声を上げている。一般的に言って、女性だけでなく、人権,環境の運動も中産階級をベースにしているという問題がある。

Q:労働組合運動に対する評価は?

A:労働組合は20年前にはもっと強力だった。新自由主義の結果、衰退していった。アキノの最後の施政方針演説で、ストライキが1年で1件だけだったと述べたほど。新しい動きとしては、「統一」という連合体が1年前にできた。ドゥテルテ政権が矛盾をもたらしている。人権問題で批判的だが、ドゥテルテが非正規の正規化を約束していて、労働者はそれに魅かれている。労組は様子見。

Q:国内政策は?農地改革をする気があるのか

A:まだよくわからない。分配されていな土地があるが、土地改革については、新しい法律が必要。地主の多くがドゥテルテ支持という問題。懐疑的に考えている。

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