トランプ大統領がパリ協定の目標達成を事実上放棄

アメリカのトランプ大統領は、3月28日、「Promoting Energy Independence and Economic Growth(エネルギー政策の独立性と経済成長の促進策)」と題した大統領令に署名しました。この大統領令の全文(英語)はこちら
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この大統領令は、オバマ前政権が地球温暖化対策のために導入した石炭火力発電所のCO2排出規制「クリーン・パワー・プラン(CPP)」を停止する内容を含んでおり、廃止の対象となるのは、オバマ大統領が2013年11月に発出した「気候変動の影響への備え」を求めた大統領令をはじめ、同年6月の電力向けのCO2排出基準など3本の覚書、CO2とメタン排出削減の気候行動計画のレポート2本などです。さらにEPA(環境保護庁)に対して、CPP関係のあらゆる規制やガイダンスなどを見直し、停止、改変、取り消しの判断をするよう指示しています。EPA等の関係官庁は、これらの大統領令に即した対応策の案を、45日以内に、行政管理予算庁(OMB)と副大統領等に対して提出し、180日以内に最終計画をまとめることになります。
すでに、2018年予算教書において、EPAの予算は31%減とされ、EPAの気候変動研究やCPPの実施を危うくしていましたが、今回の大統領令はこうした予算削減と対になったものと言えます。また、予算削減の対象は、鉛やアスベストス、ダイオキシンなどに汚染された国内数百カ所の場所を管理し、汚染を除去するための「スーパーファンド」計画の予算にも及び、7億6000万ドルから3億3000万ドルに減らされました。職員も3200人削減されようとしています。
これらの措置により、アメリカがパリ協定で公約した2025年までに温室効果ガス排出量を05年比で26~28%減らす目標の達成手段がなくなることになり、パリ協定を順守する考えがないことを明確にしたという意味を持っています。
パリ協定ですら地球温暖化を食い止め、途上国における気候変動リスクを減らすのに不十分であると私たちは考えますが、今やパリ協定の存続自体が問われる事態になりかねない状況です。もちろん、アメリカ国内では、各州レベルや企業、NGOなどの炭素排出量削減のとりくみが進められており、悲観的な要素ばかりではありませんが、国際的な市民社会の力が試されていることは確かです。

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