勝手に合区?また「都構想」?もう一度、市民の力ではね返そう〜森裕之さん講演要旨①

9月7日に行われた大阪市なくさんといてよ市民ネット活動再開第一弾集会での森裕之さんの講演要旨を数回に分けて掲載します。
この講演の中で、森さんは総合区を「かませ犬」と表現していますが、当の吉村大阪市長からは「カモフラージュ」という言葉も飛び出してきました。「カモフラージュ」発言についt

勝手に合区?また「都構想」?もう一度、市民の力ではね返そう
森裕之さん(大阪自治体問題研究副理事長、立命館大学教授)

前に肩書きが書かれていますが、大阪自治体問題研究所副理事長で、立命館大学で勤めている森です。今日はピンチヒッターということですが、「勝手に合区?また都構想?」ということでお話しさせていただきたい。ただ、新聞紙上で言われているように、特別区がどうだ、総合区がどうだとか、あるいは合区がどうだとか、さまざまなことが大阪市内、大阪市役所、あるいは大阪府市で並行して取り組まれている。これを整理して、一体どこに本当の目的があるのかというのを、私なりの解釈についてまとめたので、それについてお話しさせていただきたい。

キーワードは「かませ犬」

内容的には、最初に、特別区、つまり大阪都構想とは何なのかについてもう一度確認したい。あらかじめ結論を先取りして言うと、狙いは大阪市の廃止・解体。総合区というのは、自民党議員が昨日の大都市・税財政特別委員会の中で、総合区というのは特別区の「かませ犬」だという表現をした。「かませ犬」とか「当て馬」とか言い方はいろいろあるが、要するに「本命」ではないという言い方をされた。実は私もそういう解釈をしている。それで今日は「かませ犬」をキーワードにお話をさせていただきたい。
現在、どういう動きになっているか。前回の住民投票までは、大阪府市大都市局という部署があり、大阪府・市から50名ずつ、おそらく俊英な職員(私の先輩もいます)がチームを作って、特別区設置のための青写真を一生懸命作っていた。住民投票で都構想が否決されたあと(動きが)止まっていたが、ダブル選挙で松井知事、まあ松井知事はどうでもいいが、吉村市長が誕生したことは大きかった。それがもう一度、今の流れを作ってしまっている。だから、端的に、私は大阪市民に大きな責任があると思っている。その中で、今の混乱が引き起こされている。

副首都推進局の動きと総合区・特別区

その青写真を作る部局として、新たに副首都推進局ができる。副首都推進本部というのは、堺屋太一さんが大阪城公園で10万人の盆踊りをやろうぜとか、猪瀬直樹さんが世界の子どもたちでゲーム大会やろうぜとか話し合っている会議体で、その会議体の資料を作っているのが副首都推進局(前の大阪府市大都市局)になる。ここが今問題になっている総合区だとか、特別区だとかを作っている。
総合区というのは、前の都構想が出てきたときに、こんなことをさせたらアカンということで、国、特に総務省が動いて作った制度だった。大阪都構想というのは、本質は大阪市を廃止・解体して、権限・財源をぶんどるという代物。あの当時、大阪市を5つの特別区にして、特別区は市町村と同じ基礎自治体なので地方自治ができるようになりますよと、区長や議会も選挙で選ぶ、今の24区に比べたらずっといいでしょ、と言われた。つまり、住民の自治を拡充するというのが都構想の目的のように示された。これではいかんと、大阪市をつぶさなくても区の権限を拡充できますよということで、国が作った制度が総合区だった。つまり、総合区にすれば大阪都構想=大阪市の廃止みたいなばかげたことをしなくてもいいんだ、という位置付けだった。これが総合区。
特別区は、前回の住民投票のときと同じように、大阪市を廃止・解体、バラバラにして、それぞれの区を市町村と同じような基礎的自治体にする。しかし、権限と財源が大阪府に取られてしまうので半人前。いま大阪市を支えている財源、例えば固定資産税とか、個人・法人が払っている住民税が大阪府の税金になる。大阪府の税金になるということは、大阪府の条例で使い方を決められるということ。それが半人前という意味。
ややこしいのは、この二つが並行して話されているため。特別区の議論、つまり大阪市の廃止・解体は、特別区設置の法定協議会で議論される。前のときは、法定協議会に反対する議員も最初は入っていたが、維新が追い出した。その理由は、この法定協議会は大阪都構想を推進するための会議体なので、その目的じゃない議員がいるのはけしからんということだった。今回は公明党に気を遣って、本来は関係のない総合区の議論(大阪都構想には反対するものだから)を同時に議論するというのは、論理的にも、過去の経緯から見てもありえない。しかし政局はぐちゃぐちゃになっているので、同じ土俵に引っ張り込むことでお互いの思惑が一致して、法定協議会で総合区、特別区が一緒になっている。これは、一般の市民からしたら何のことかわからない。ここに合区が絡んでくるので、何がどうなっているのかわからなくなっている。それが来年の秋に住民投票するとか言うのだから、歴史に残るありえない事態になっている。
大阪市を残して区の権限を強めるという総合区については、8月10日の戦略会議で案が出されて、そのまま29日の大都市制度協議会、つまり法定協議会で出された。特別区についても、バージョンアップするとか言って、4区案、6区案が出されている。何がバージョンアプなのか、前の5区を単に偶数にしただけ。バージョンアップと言うのなら、何か理念を持って数字を大きく変えなければいけない。例えば、5区だとあまりにも住民との距離が遠くなるので10区にするとか、5区も作ったら金がかかりすぎるから3区にする、とかだったらまだわかる。単に偶数にしただけで、バージョンアップと言って出してきているのは、本当にふざけていると思う。
7月21日の区長会議で、区が淀川をまたぐのは良くないという異論が出された。特別区の本質、問題というのは、大阪市の財源・権限が大阪府に奪われるということ、そして財源の一部が特別区に戻されて、その一部をめぐって特別区同士が争うということ。そういう制度が許容できるかどうかを区長がちゃんと議論しないとアカンはずなのに(実際にはできないのかもしれないが)、淀川またぐのがどうこうとか何を言ってるんやと思う。これが今の大阪府市のレベル。異論が出たということで、淀川をまたぐかどうかで、4区案で二つ、6区案で二つ、バージョンアップの名の下で出てきている。

議決の順序

特別区と総合区は、片方は大阪市を潰す、片方は大阪市を残すという二律相反で、どちらかを取るしかない。どうやって決めるのか、大阪市かの議員さんからは「一言一句真面目に取らんといてください。すぐ変わりますから」と言われているが、いまのところどういう話になっているのか。順序でいうと、特別区の住民投票をまずする、特別区に賛成かどうか前回の住民投票と同じで、これをまず行う。否決されたら総合区にする。総合区は住民投票なしに、議会で決めることができるから。
松井知事は、何で大阪市のことに関係あるのかと思うが、「特別区が直接の住民投票、直接民主主義で決められるわけですから、民主主義で一番重たい決定方法だと思います」と。お前、前回の住民投票を何やと思ってるねん、怒ってくださいね、ふざけすぎですよ。「特別区の住民投票で出た答えがまず優先、直接投票ですので優先されるべき。総合区については、今回の法定協議会で中身を固めて、総合区をそこで一挙に決定するのではなく、目指すぐらいの何かそういう形の決議みたいにしておいて」という二段階で、特別区があかんようになったら総合区にしようね、ということをあらかじめ決めておこうということだ。

吉村市長の言葉

同じことを吉村市長も言っている。昨日の委員会の中で、自民党の議員さんが「住民投票の実施という目的を達成するために、総合区をかませ犬にしている」と批判したが、これは正しいと思う。総合区の案はしょぼい。こんな意味のないことのために合区するとかありえない。それに対して、吉村市長は「住民投票の前に、総合区について何も議決しない方法もあるかもしれないが、住民投票が可決されたら特別区、否決されたら総合区でいくという担保が必要だ。適切な考えであり、それ以上のものではない」、つまり「かませ犬」ではないと言っている。
つまり大阪市民は、合区について何の権限もない。否決されたら、合区された総合区になって、知らぬ間に区の名前が変わっている。区のつながりも変わり、実質的には何のメリットもなく区だけ変わって、封筒の名前を変えるとかお金ばかりかかることになってしまうだろう。

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