「特別区」は大阪市の廃止・解体・従属化!〜森裕之さん講演要旨②

森裕之さん講演要旨(その2)です

報告の趣旨

今日の報告では、まず特別区とは一体何だったのかをおさらいし、そして今日のキーワードである「かませ犬」としての総合区を一応検討してみたい。最後に、どうやって運動していったらいいのか、これはみんなで意見交換しながら進めていきたい。前よりはまだ時間があるし、前の住民投票の時に特別区とは何かは一応わかっているので、そこから運動をどう作っていくのか考えていく機会になれば。

特別区化(=大阪都)とは何か〜大阪市の廃止・解体・従属化

まず、特別区化=大阪都とは何か、これは大阪市の廃止・解体・従属化。もともと大阪維新の会がどういうことを考えていたのかを最初に整理したい。これは堺市長選挙とも関係がある。彼らは大阪市と堺市を解体することが目的。だから、堺市長選挙で大阪都構想を争点にしないとは、何をばかなことを言ってるんや、嘘つくなと思う。争点にしないということはやるということだ。大阪市・堺市をなくして特別区にする、他の市町村と同じにする、しかし特別区には権限や財源がない、大阪府に握られている。自分のところで集めた税金は自分のところで使えるから、市町村の方がはるかにマシ。(特別区は)集めた税金は大阪府に行って、どう使うかも大阪府が決める。まともに考えたら市民にとって何もいいことはない。特別区になった時点で(関西州になって)大阪府=大阪都もなくなっている。何のためにやるのか。二段階だとか言っている。矛盾しないと言っている。前に私の話を聞きに来ていただいた維新の議員に「この話おかしいでしょ」と言ったら、「段階的にやらないと進まないんだ」と同じことばっかり言っていた。ペットボトルで「先生はこっちから見ているが、私はこっちから見ている」とか言って、訳がわからなかった。
特別区で出ている案だが、4区案では、淀川を超えるから行きにくいという区長会での異論で(淀川を超さない)案と二つ出ている。6区案も同じ。この4案からどれがいいとか、偉い人が考えるのだろう。何がバージョアップかと言いたい。
特別区化=大阪都の本質は、まず大阪市が「廃止」されること。維新の議員に聞くと「なくならない。なぜなら土地があるから」だそうだが、全く意味がわからない。地球人的に考えれば、大阪市は地図から消える。子どもが住んでいるところを「大阪市」と書けばバツにされる。歴史上からも大阪市は消える。「昔あった」存在になる。
廃止されるだけでなく、「解体」=バラバラにされる、分割される。それぞれが別の自治体になる。区長や区議会が選挙で選ばれる。これが今の24区と同じ「区」という名前だからややこしいが、特別区というのは別々の自治体になるので、大阪市民はいま大阪という一つ自治体に属しているが、4つか6つか、淀川をまたぐかどうかは別にして、別々の自治体に属する住民になる。
単に解体だけでは別々の市町村になるということだが、そうはさせないで、「従属化」させる。「従属化」というのは権限と財源を奪い取られること。みなさんが払っている膨大な金が奪い取られる。
そして、チーム大阪市民は「解散」する。それぞれ別々の住民になる。

これが特別区だ。何かいいことがあるのか?それに伴うメリットは何なのか?堺市は、もともとは3つに分割するという話だったが、いまはわからない。ただ、3つに分けない場合は住民投票が要らない。大阪市がすでに特別区になっていて、堺市を特別区にする場合、分割するときは住民投票が必要だが、分割しないときは住民投票が要らない。議会で決められるので、とても怖い。

特別区化(大阪都)で大阪市が失うもの

特別区になったときに、つまり大阪都構想が実現したときに、大阪市が失うものは大きく3つ。一つは、政令市としての大阪市が持っている権限、主には都市づくりの権限が失われる。大阪港を考えてみるとわかりやすい。港湾は都道府県が持っているが、政令市は港湾の管轄権を委ねられているので、大阪港は大阪市が管理している。つまり、大阪市民の判断で大阪港をどうするかという取り組みを進めることができる。例えば、大阪市民がカジノを作りたいと言えばできるし、作りたくないと言えば作れない。大阪市に権限あるから。だから、IR、カジノと大阪都構想が密接に関連していることがわかる。特別区になれば、大阪港をどうするかという権限を失うから大阪府が決めることになり、そうすると大阪市民は関心がなくなって、カジノ作ってもいいんちゃうのという話になってしまう。
身近な問題だから、それがいいのかどうかを真剣に考えることができるので、大阪市に権限を残さなければならない。それと産業政策の権限がある。この二つは、前回の住民投票の際にも、大阪都構想が実現すれば大阪府が持っていくよと示されていた典型的な行政の分野だった。この他にも、大学をどうするのか、生活支援をどうするのか、大阪府が持っていくというのがあったが、主にはこの二つ。
権限を持っていくだけだったら、持っていってよということになるかも知れないが、お金=財源が持っていかれる。財源は主に、地方税、地方交付税で、いまは大阪市民の人は大阪市に払っている。地方交付税というのは、国が自由に使ってくれというお金だが、国が大阪市民のために交付しているものです。これが両方とも大阪府のお金になる。大阪市税は大阪府税になる。大阪府のお金になってしまい、使い道を特別区民が決める権限は何もない。
東京都も同じという人がいるが、東京都では23区は強い。だから23区に還元される率が高い。人口でいうと、7割が23区。大阪は逆で、大阪市にはたった3割しか住んでいない。そんな中で、大阪府の議員さんたちが旧大阪市民がかわいそうだから、お金を大阪市にまいたろかとはならない。それよりは、開発が遅れている南の方にとか、マンション建ってぐちゃぐちゃになっている北摂の方にとかになる。力関係では負けるから。旧大阪市民は収奪されるだけの存在になると思う。国からくる補助金とか、起債(借金)とかは、地方税と地方交付税があるからできる。学校を建て替える場合でも、二分の一が補助金になるが、頭金となる財源がなければできない。地方税と地方交付税がなくなることは、補助金や起債にも連動する。
あとは資産、例えば、大阪市の地下鉄はいま大阪市が株式を持っているが、特別区になれば大阪市がなくなるので、大阪府が持っていく。特別区に分け与えるという話には絶対ならない。大阪市民が長い年月かけて築いてきた地下鉄が株式もろとも持っていかれる。株式の所有権が府に移ってしまう。貯金(基金)も持っていく。借金もある程度は持っていくだろうが、持っていかれる資産は大きい。それをよしとするのかは大阪市民の判断になる。

特別区化による財源収奪

財源がどれくらい持っていかれるかというのを一番新しい決算の資料でやってみた。前のときやったのとほぼ同じだが、いま大阪市税が6,600億円くらい。この中には固定資産税や個人・法人の住民税などが入っているが、前の都構想の時の制度設計で計算すると、4,850億円(74%)が大阪府の税金になる。それと、国から大阪市民の生活を支えるために地方交付税が420億円きている。これも大阪府のお金になる。これで5,300億円くらいになる。専門的な話になって恐縮だが、地方交付税を払いたいけど国も金がないからとりあえず借金しといて、後で全部返したるからという臨時財政対策債680億円も、大阪府の財源になる可能性がある。これらを足すと6,000億円くらいの、皆さん方が自由に使えるお金が府と特別区との間で分け合うお金になってしまう。分け合うといっても、府の方がもともと自分の金じゃなかったからいいが、分け合わされるのは大阪市民。友達との間で、自分の持っている財産をどう分け合おうかという話で、こんなおかしいことはない。

大阪都の財政調整制度の問題点

そのうちいくら返ってくるかというのは、10月以降に出てくる案の中に入っている、もしくはその後に精査されて出てくる。前のときもなんども変わってきましたから、変わる可能性はあるが、前のときは大体4分の3だった。つまり、4分の1は持っていかれる計算で、1,200億円くらいが持っていかれることになる。1,200億円にプラスして、国からの補助金とか地方債が連動するので、大阪府の決算でどれだけ連動してくるのかを計算してみたら、1,200億円の3分の1か、もう少し大きいかくらい。ということはザクッと2,000億円くらい。前の制度設計だと、いま大阪市が得ている財源の2,000億円くらいが大阪府に持っていかれる。
しかも、いくら持っていくのかは毎年、毎年決める。大阪府の議会が毎年、特別区の取り分と大阪府の取り分を決める。自分ところの金じゃないから、そこには特別区議会の権限はない。だから、ちょっとかわいそうだから増やしたろかとなると思いますか?一方で、湾岸部の開発を進めるなど、どんどん大阪府の金は苦しくなっていく、もっと召し上げたれということになりませんか?しかも力関係で言えば、旧大阪市は弱いわけです。人口配分で大阪府の議員配分も決まるから。この2,000億円持っていくというのが大阪都構想の本質だと思う。
ここで騙されてはいけない。4分の3も返ってくるとか。前回も旧大阪市、特別区へ返ってくるお金がだんだん増えていった。増えていったら「ああ良かった」となるかもしれないが、大阪府が毎年、毎年決める。東京都でも毎年喧々諤々やっているが、特別区に力があるので支えられる。大阪では特別区に力がないということを考えなければいけない。騙されてはいけない。ポイントは大阪市税が大阪府税になるということ。
問題点をまとめると、大阪市の税財源が2,000億円収奪される。各区の間で税金の多いところ、少ないところという財政力の格差が発生する。その差については、大阪府から戻してもらったお金をパイにして、足らないところを埋めることになる。これは言い換えれば、大阪府からもらった少ないお金を特別区の間で奪い合うことになる。それも、毎年、毎年繰り返される。大阪府と特別区の間で血みどろの争いをする、そして特別区間の予算をめぐり特別区同士でも血みどろの争いをする。想像しただけ恐ろしいと思う。
東京都の事例でいうと、一定の算式を作って分けるが、それ以外に都知事の裁量的な予算がある。それがどこに配分されるか全くわからない。私がヒアリングに行ったのは石原都知事の時だったが、どうも石原都知事と仲の良かった区長のところに予算が行ってるな、という噂がある。公開しないからわからない。そういう政治風土が作られていく。大阪府との関係で言っても、間違いなく予算は削られていく。各特別区には市民の暮らしに関わるところだけが残されているので、そこを削るしかない。福祉や医療、教育などが削られていく。削っていかざるを得ない。こんなはずではなかった、と後から気づくことになる。

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