大阪講演会でのマリー・ルーさんの講演要旨

大阪講演会でのマリー・ルーさんの講演要旨です。

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システム全体を問題する中で、森林が持つ決定的役割について述べたい。水への権利、マザーアースの権利にとって、森林は決定的役割を果たしている。森林破壊や森林の減少という危機が、水への権利、マザーアースの権利の実現にとって決定的だからである。
森林破壊を促進している要因はさまざまあるが、二つに絞ってお話したい。
第一に、大規模な形でのニセの森林や植林に名を借りた森林破壊、大規模な単一品種の植林が、気候変動の解決策になっていないだけでなく、森林の破壊を促進している。具体的例として、ポルトガルのユーカリ植林は、紙パルプ生産のために自然を破壊している。森林を伐採し、ユーカリを植林することで「緑の砂漠」と呼ばれる状況になっている。ユーカリ植林は大量の地下水を消費し、植えられたユーカリは他の一切の植物の存在を許さない。しかも、ユーカリは非常に燃えやすく、山火事が拡散しやすい。
これは、気候変動とも密接にかかわっている。具体例として、今年初め、チリを熱波が襲った際、60万haの森林が焼失した。6月には、ポルトガルで大規模な森林火災があった。ポルトガルは、面積あたりのユーカリ植栽では世界一である。森林火災には、モノカルチャー的な植林、気温上昇、干ばつという要因があった。そこに雷が落ちて、木に火がつき、燃え広がった。犠牲者も出ている。これは、チリやポルトガルだけの問題ではない。世界中で、ユーカリ、アブラヤシなど大規模な単一品種の植林が行われている。紙・木材・バイオ燃料の持続不可能な需要の増大に対応するために行われている。木を植えることで気候変動の抑制に貢献していると植林者は言うが、これは本当の森林ではない。ユーカリは燃えたあとでも、他の植物種の成育を許さない早さで元に戻っていく。ポルトガルの在来の森林はほとんど燃えていない。カシ、クリなどは火災に強い。村の周りにカシ、クリ、コルクなどを植えていた村は火災を免れた。マザーアースは、どの品種が火災から守ってくれるかを知っている。それが本当の森で、生物多様性が残っている。コミュニティが在来種を植林することで、自分たちの村を守ろうとする動きも出始めた。
持続不可能な食肉生産や畜産も森林消失の要因となっている。それは気候変動、水の確保、生物多様性に大きな影響を与えている。ボリビアでは、牧畜業者が牧草地・放牧地を確保するために森を燃やすことが従来から行われている。一度火をつけると、火をコントロールできなくなり、家畜すら死んでしまうという矛盾したことが起こっている、森林伐採によって、遺伝子組み換えの大豆を家畜の飼料として植えている。
温暖化効果ガスの中で、畜産関係は大きな割合を占めている。南米では、森林伐採の一番の理由は牧畜である。
牧畜の問題は、世界的なシステム、つまり企業の活動の自由拡充と貿易ルールの策定のもとで許容されている。貿易ルールは、工業化された農業に非常に有利な制度だ。欧米ではアグリビジネスに膨大な補助金を出している。安い輸入食肉のため、ガーナでは地元の牧畜が壊滅的打撃を受けた。これは多くの国で起こっていることだ。補助金があるため生産コストを下回る価格で輸入され、中小の農家に打撃を与えている。利益を得ているのは、多国籍アグリビジネスだけだ。
森林破壊だけでなく、先住民が追い出される事態もある。そういう問題があるにもかかわらず、抵抗の運動があることを強調したい。パラグアイの例では、遺伝子組み換え作物の搬入を阻止しようとして、農民が道路を封鎖した。抵抗の運動に加えて、対案の具体化の動きが始まっている。地域でオルタナティブな生産、生き方を実践しているところがたくさんある。先祖伝来のやり方で森を守り、持続可能なエコ農業を実践している。これは気候変動に有効で、地域で食料を確保できることが立証されている。
最後に強調したいのは、ニセの解決策に反対するだけでなく、それに代わるオルタナティブを広めていくことが重要だということだ。マザーアースを守るための全体的な挑戦として、先住民や地域の人たちが持っている知識にもとづいて、対案を考えていく必要がある。

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