CADTM南アジアワークショップ報告④〜南アジア:新たな債権者と債務奴隷の新たな形態(3)

少し時間が空いてしまいましたが、「南アジア:新たな債権者と債務奴隷の新たな形態」の(3)です。今回は、「スリランカにおけるマイクロクレジット」と「地域における債務への抵抗の展望」の部分で、これでこの論文の紹介は終わりです。


スリランカにおけるマイクロクレジット

スリランカにおけるマイクロファイナンスに関する状況は、きわめて驚くべきものであって、マイクロクレジット・ローンのもっとも予期に反した結果を示している。国の北部・東部地域(長期にわたる内戦によってもっとも影響を受けたタミール人が多数を占める地域)において、2009年に戦争が終結するまでは、マイクロファイナンスは存在していなかった。こうした地域では、家計を支える稼ぎ手が亡くなり、強いられた移動や破壊によって人々が家や土地を失ったが、(国の他の地域ではすでに発展し続けていた)マイクロファイナンスが、戦争終結のあと、急速に発展した。そして、その影響が特に感じられ、可視化されるようになった。世界の他の部分、とりわけ南側諸国と同じように、マイクロクレジット・ローンは、回復と開発のための最良の解決策として導入された。そして世界の他の地域と同様に、マイクロクレジット・ローンは、実際にはより深い絶望とより大きな周縁化をもたらした。

マイクロクレジット・ローンは、貧しい人々が起業家になり、零細ビジネスを経営し、貧困から脱出することを可能にする小規模ローンとして宣伝された一方で、スリランカにおけるマイクロクレジット・ローンの借り手が、消費的生活必需品、医療費や教育費、家賃支払いのような基本的に必要な支出のために借りていることは明らかである。世界の他の地域と同様に、借り手の圧倒的多数はインフォーマルセクターで働く女性であり、定期的収入はほとんどないか、全くない。彼女らの多くは、契約書に署名する際にローンの期間や条件を知る機会を持っていなかった。それゆえ、彼女らのほとんどは自分たちのローンの利息がどれくらいの率なのか知らない。彼女らが定期的に返済しなければならない金額を知っているだけなのである。彼女らが返済すべき利息について告げられるときでさえ、マイクロファイナンス業者は20〜28%という公式的な利率について語る。そのような利率は悪用されていて、実際の利率はそれよりも相当高いものになる。

実際の平均的利率は60〜70%にも達している(いくつかの地域では100%以上のときもある)。これによって借り手は債務の罠にはまってしまうしかない。収入が不足していることを考えると尚更そうなる。債務を返済するために、マイクロクレジットの犠牲者は、他のマイクロファイナンス業者や隣近所の人、高利貸し(「ローン・シャーク」)から多額の追加ローンを契約しなければならない。マイクロクレジットを促進するために用いられた議論には、それがそのようなローン・シャークの存在を終わらせるだろうというのもあった。実際には、それはローン・シャークのネットワーク総体を生み出したのだった。

債権者の嫌がらせや借り手の家族・友人・隣人の社会的圧力を考えれば、債務不履行率は非常に低い。債務不履行に陥らないために、被害者は非常に大きな犠牲を払う。それは彼ら/彼女らの生活や家族の生活を危険に晒すほどだ。たとえば、自分たちの家や(持って入れば、食料を自給はできなくても、野菜くらいは栽培できる)土地を抵当に入れるか、売却するのだ。

スリランカ北部の中心都市であるジャフナにおいて、マイクロクレジット詐欺の犠牲者である女性たちが、2,000人以上の参加者を集めたデモを組織した。彼女らは、他の形態による公正で規制されたクレジットの導入・拡張とともに、自分たちの借金の返済猶予(モラトリアム)や帳消しの実施を要求した。犠牲者の中には会社を起こすことでマイクロクレジットに替わる選択肢を作ろうとする者もいる。マイクロクレジットに対する抵抗運動は、まだそれほど広がってはいないが、未来への希望をもたらすものである。マイクロファイナンスの信用失墜はスリランカにおいてますます拡大していくように思われるからである。

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地域における債務への抵抗の展望

このワークショップでは、次のようなテーマも提起され討論された。新自由主義的政策によって債務を負わされるようになったが故に、スリランカ・インド・パキスタンの農民が置かれている不安定な状況;最近の多国間開発銀行によって引き起こされている懸念やある重要な開発銀行の設立;日本における学生ローン問題。

不当な債務に対する具体的な行動の展望が明らかにされた。スリランカ規模では、こうした問題についての、とりわけマイクロクレジットに反対するネットワークが形成されつつある。CADTMのメンバーは、債務詐欺の犠牲者や活動家が、返済を停止し不当な債務を拒絶する目的で、公的債務およびマイクロクレジットを含む私的債務を監査するために結集するという観点を強調した。このことは、債権者・公的当局と対決するために強力な組織化を必要とするだろう。われわれはこのワークショップがこの目標に向かう一つのステップになったことを希望する。
さまざまな国の、民衆の解放に向けたさまざまな闘いに参加している多様な活動家が、三日間にわたって債務政策について議論するために結集したという事実は、それ自体で成功だったことを意味する。資本主義および資本主義に必然的に伴う債務システムは国境を知らない。それゆえ闘いのためには国際的レベルで団結することが必要である!

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