日米「TAG」交渉は2国間「FTA」そのものである

9月26日、トランプ大統領と安倍首相との首脳会談後に発表された日米共同声明について、安倍首相は「物品貿易協定(TAG)の交渉開始を確認したもので、包括的な自由貿易協定(FTA)とは異なる」と言っています。しかし、この共同声明には「TAG」という文言は入っていないではないか、という指摘が出ています。

その点について、農業協同組合新聞(JACom)が、英語原文と日本外務省による訳、在日アメリカ大使館による訳と合わせて、独自に共同声明の日本語訳を発表しています。

JAComのサイトはこちらから
https://www.jacom.or.jp/nousei/tokusyu/2018/10/181011-36377.php

問題となる第3項について、日本外務省は以下のように訳しています。
「3. 日米両国は,所要の国内調整を経た後に,日米物品貿易協定(TAG) について,また,他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても,交渉を開始する。」

一方、在日アメリカ大使館による訳では、
「3. 米国と日本は、必要な国内手続が完了した後、早期に成果が生じる可能性のある物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉を開始する。」
となっています。

明らかに違うのは、日米物品貿易協定(TAG) という文言が入っているか、入っていないかです。

ちなみに、第3項の英語原文は以下の通りです。
3. Japan and the United States will enter into negotiations,following the completion of necessary domestic procedures, for a Japan-United States Trade Agreement on goods,as well as on other key areas including services,that can produce early achievements.

これについて、JAComは、「Trade Agreement on goods」のgoodsは小文字で表記されている。これを「物品貿易協定」と訳し、英語の本文にない「TAG」という略称を付すのは誤訳と考えられる。原文通りに略称を付けるなら「TAg」とすべきである。ただし、貿易などのさまざまな協定の略称はすべて各語の頭文字をとった大文字で記されるのが一般的であり、小文字を含むのは不自然である」として、外務省訳は誤訳であるとしています。

JAComは慎重に断定を避けていますが、これは明らかに日本外務省による意図的な訳の改ざんです。その改ざんした訳に基づいて、あるいは改ざんさせた訳を根拠として、安倍首相はFTAとは異なると言っているわけです。

しかも、第4項では、日本外務省の訳でも、「4. 日米両国はまた,上記の協定の議論の完了の後に,他の貿易・投資の事項についても交渉を行うこととする。」と書かれていて、物品・サービスに加えて、投資についても交渉することが明記されているのです。

つまり、FTAとは明記しないものの、実質的には物品・サービス・投資を包括的に規定するFTAそのものであるということです。この日米FTA交渉に対して、私たちは、交渉に関わる情報公開を求めるとともに、農業、環境、労働者の権利を破壊するFTAに反対するキャンペーンを進めていく必要があります。

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