【COP24】カトヴィツェ会議での決定と課題〜高村ゆかりさんのお話から

前回に続いて、CASAなどが主催したCOP24報告会に参加した会員からの投稿を紹介します。今回は、東京大学サステイナビリティ学連携研究機構の高村ゆかりさんの報告などについてです。

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高村さんのお話は、4年連続で聞くことになるが、今回の報告では、各所で「私としては残念ですが」「私としては問題を感じますが」という表現をされていたのが印象的だった。また、高村さんの後に登壇した環境省の小野洋さんは、国務省の声明(「交渉成果は、米国の経済的競争相手に対し、1992年以来米国が満たしてきた基準に沿った形での排出量の報告を課すための重要な一歩である」)を引用して、米国がCOP24の合意内容に満足していると説明された。つまり、COP24の合意は、米国がパリ協定への再関与を阻むような合意ではないという評価をしているわけだ。この二つのことからも、COP24の決定がいかに問題があるものだったかが理解できよう。

以下、高村さんのお話を私なりにまとめてみた。

パリ協定の締約国は、183カ国とEUで、世界の排出量の89%以上を占める。主な未批准国は、ロシア・トルコ・中東諸国など。京都議定書では、先進国ルールと途上国ルールに分けられていたが、パリ協定は一つの枠組みになっていて、絶妙できめ細かい差異化があり、途上国の能力の違いを考慮している。しかし、この点はCOP24でも、ルールブック作りの大きな争点になった。

COP24は、ルールブック合意、目標引き上げメカニズム(タラノア対話)が位置付けられていた。2020年は、約束草案(INDC)の提出期限であり、2050年長期炭素戦略の提出期限でもあるが、この年のG7(議長国アメリカ)G20(議長国サウジ)はパリ協定との相性が悪い国が議長なので、2019年が目標引き上げのモメンタムを作っていく上で重要。

排出削減策のガイダンスにおいては、NDC(各国の目標)に関する情報・アカウンティングに先進国・途上国の区別がない。この点は大きな争点だった。また、目標とは何を指すのか、目標とは「排出削減策」だけなのか、も争点の一つであり、「途上国はそれほど排出していないから、適応目標だけでいい」「先進国は資金援助の目標も出すべきだ」などの意見も出された。この争点に関する回答を与える規定はないが、基本は「排出削減策」でそれ以外のの情報の提出を妨げないとしている。残念だと考えている点は、目標の提出期限や目標の期間など、共通の時間枠について合意がなかったこと、追加ガイダンスについても合意がなかったこと。

市場メカニズム(いわゆる排出量取引)については、さまざまな種類のダブルカウンティングを防止するためのルール作りが争点になった。ブラジルが強硬に反対して、合意に至らず。COP25での合意を目指す。

透明性のルール(対策がどれだけ進んだのかを各国が報告し、それをチェックするルール)では、先進国と途上国の区別のない一つの枠組みとなり、途上国にとっては随分厳しいルールになった。ただし、能力に欠く途上国には透明性のルールの定める範囲で柔軟性が与えられる。どの国が「能力に欠く」かは、それぞれの途上国が判断する。

パリ協定合意事項をどのように遵守させるのかという問題については、遵守員会に強制的な性格・機能がなくなり、関係国の国家主権をより尊重し、いいんかの権限を相対的に弱めるものになっている。また、NDC・情報の内容については関係国の同意なしには検討対象とならない。しかも「重大で、継続的な不一致に関する事案」のみ「促進的検討」の対象となる。これは気になっている点で、「遵守する」という機能が働かないのではないか。

そのほかの決定事項として、「2030年までに、長期戦略を提出するという締約国への要請を再確認」「2020年までに、2025年目標を提出している締約国は新しい目標(NDC)を提出し、2030年目標を提出している締約国はNDCを提出または更新するという要請を再確認」がなされたが、環境NGOは「再確認」ではなく、もっと強い表現をすべきだとして厳しい評価を下している。SR1.5ともリンクしていないのは残念。

来年のCOP25はブラジルが開催を辞退したため、代わりにチリが引き受けた。

石炭火力をめぐっては、2017年11月に立ち上げられた「脱石炭促進アライアンス」には、30カ国、22の州・自治体、28の企業が参加。

SBTには、世界で509社が参加、うち163社が目標が科学と整合していると認定されている。昨年秋、日本経団連が長期計画を作成した企業に提出を要請し、1月15日にその企業名が公表された。金融面からの動きも目立っている。

今後の見通しと展望については、COP24でパリ協定のルールブックのほとんどに合意(市場メカニズムの合意を除いて)したので、2019年は、2020年までのNDCの引き上げと長期戦略が焦点となる。すでにCOP24ではノルウェーなどが目標引き上げの検討を表明。米国のリーダーシップ欠如の中で誰が埋めるのかが問題。日本にとっては、NDC見直し・再提出と長期戦略策定が当面の課題となる。

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