オックスファム報告書「Public Good or Private Wealth?(公共財か、それとも私有財産か?)」

1月22〜25日に、スイスのダボスで「世界経済フォーラム」、いわゆるダボス会議が開催されます。開催を前にして、オックスファムが1月21日、「Public Good or Private Wealth?(公共財か、それとも私有財産か?)」と題する報告書を発表しました。

報告書の英語要約はオックスファムのサイトからダウンロードできます。
https://www.oxfam.org/en/research/public-good-or-private-wealth

AFPが配信した記事によると、この報告書では「世界で最も裕福な26人が、世界人口のうち所得の低い半数に当たる38億人の総資産と同額の富を握っている」「世界一の富豪である米アマゾン・ドットコムの創業者ジェフ・ベゾス氏の資産は昨年、1120億ドル(約12兆2800億円)に増えた。ベゾス氏の総資産のわずか1%が、人口1億500万人のエチオピアの保健医療予算全額に匹敵する」といった実態が明らかにされています。また、報告書は、富裕層や大企業に課税して「底辺への競争」をやめるよう各国に強く要求しています。

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この報告書について、オックスファムのサイトの記事を日本語訳しましたので、以下に紹介します。

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資産額10億ドル(約1100億円)以上の富裕層の資産は2018年、12%〜毎日25億ドル(約2700億円)ずつ〜増加した。その一方で、世界人口のうち経済的に恵まれない半数に相当する38億人の資産は昨年、11%減少した。

この報告書は、経済と政治の指導者たちがスイス・ダボスで開かれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に集まる機会に発表された。「Public Good or Private Wealth?(公共財か、それとも私有財産か?)」によれば、拡大する格差によって貧困対策の効果が損なわれ、経済は打撃を受け、人々の怒りをあおる結果になっている。その報告書は、各国政府が保健医療や教育といった公共サービスに割く予算を削減する一方で、企業や富裕層に対する税制優遇を続け、脱税を取り締まることができていないため、不平等をさらに深刻化させていることを明らかにしている。さらに、こうした経済的不平等が深刻化することで最も被害を受けているのが、女性と少女であることも指摘する。

オックスファム・インターナショナル事務局長のWinnie Byanyimaさんは、「みなさんの銀行口座残高は、あなた方の子どもたちが何年学校に行っても、あなた方が何年生きても、影響を受けないでしょう。でも、これが世界中の多くの国々で起きている現実なのです。企業や超お金持ちが低い税金を享受する一方で、何百万人もの少女がきちんとした教育を受けることを拒まれ、女性が出産時医療を受けられずに死に直面しているのです」と述べた。
報告書によれば、資産額10億ドル以上の富裕層の数は、金融危機以降、ほぼ倍になっており、2017年と2018年には、2日に1人の割合で新たな10億ドル以上の富裕層が生まれている、そして企業と富裕層は、過去数十年間で最も低い税率を適用されているとのことだ。

最富裕層がたった0.5%多く税金を払えば、現在教育を受けられずにいる子どもたち2億6200万人に教育を授け、330万人の命を救えるだけの保健医療を提供しても、余りある資金を確保できる。

2915年では、相続税や富裕税のような資産に対する税金は、世界中の税収のうちわずか4%に過ぎない。こうした種類の税金は、多くの富裕国では低減されるか、撤廃されており、途上国ではほとんど実施されてさえいない。

富裕層や企業に課せられる税率もまた、劇的に低減されている。例えば、個人所得税の最高税率は、富裕国では1970年の63%から、2013年には38%に低下した。貧しい国での平均税率はたったの28%である。いくつかの国では、ブラジルのように、最も貧しい10%の人々が、最も富裕な10%よりも高い税率で所得税を支払っている。

同時に、公共サービスは慢性的な予算削減をこうむったり、貧しい人々を排除する民間企業に外注されたしている。多くの国々では、ちゃんとした教育や質の高い医療は、金持ちだけが支払うことのできる贅沢品となってしまった。毎日、1万人もの人々が安価な医療にアクセスできないで死んでいる。途上国では、貧しい家庭の5歳未満の子どもたちの死亡率は、金持ちの家庭の子どもたちの2倍と推定される。ケニヤのような国では、金持ちの家庭の子どもは、貧しい家庭の子どもよりも2倍の期間、教育を受けるだろう。

資産課税の削減は、世界的には女性よりも50%多い資産を持ち、80%以上の企業を経営する男性に利益をもたらしている。反対に、公共サービスが顧みられない時、一番被害を受けるのは貧しい女性と少女である。授業料が払えなくなると真っ先に学校に行けなくなるのは少女であり、医療システムが崩壊した時に病気の親族を看護したりする未払い労働に多くの時間を割くのは女性である。オックスファムの推計では、世界中で女性によって担われている不払い労働を一つの会社で行うとすれば、その年間売上高は世界最大の企業であるアップル社の43倍の10兆ドルになるだろう。

「世界中の人々が怒り、不満を抱えている。政府は、企業や富裕層に公平な割合の税金を払わせ、誰でも利用できる無料の医療・教育に資金を投資することによって、真の変化を実行しなければならないのです。その中には、しばしば見過ごされてしまっている女性や少女にとって必要なものが含まれます。そうすることで、政府は特権的な少数者のための未来だけではなく、すべての人のために明るい未来を建設できるでしょう」とByanyimaさんは述べた。




 

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