アピール:南アジア諸国の債務の即時帳消しを

南アジア貧困撲滅連合(SAAPE)と不当債務帳消し委員会(CADTM)南アジアが呼びかけている「アピール:南アジア諸国の債務の即時帳消しを」にATTAC Japanも賛同しました。

アピール原文と賛同署名した団体・個人は、以下のサイトで見ることができます。
http://cadtm.org/Immediate-cancellation-of-South-Asian-countries-debts

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南アジア諸国の債務の即時帳消しを

コロナウイルスはより大きな危機の妖怪を明るみに出した。世界の大部分の国の経済は、二〇〇八〜九年のサブプライム危機以降、すでにますます深刻化する過剰生産、景気後退、不況の苦しみの中にあった。パンデミックはその状況を悪化させた。失業者数は毎日増加している。多くの小規模ビジネスやいくつかの大企業が破産すると推定されている。この医療危機とそれと連動する経済的影響は、「南」の多くの国々を前例のない危機に追い込み、何百万人もの人々を貧困に陥らせる十分な可能性がある。

われわれは新たな債務危機に突入するだろう。すでに二〇一九年七月、IMFは、低所得国の中では九カ国が過重債務状態にあり、二四カ国がそれに近い状況にあると報告していた。「南」の国々の対外債務残高は、特に過去二十年間の劇的な増加のために、さらに一九八〇年代における第三世界の危機に先立つ債務状況との類似点のために、心配の源となっている。加えて、経済危機が意味するのは、輸出に依存する「南」の国々が国際決済通貨(ハード・カレンシー)を得るのがむつかしくなり、海外からの送金が顕著に減少し、財政投資が減るということだ。このことは、こうした国々が現にある債務を返済する能力にとてつもない重圧をもたらすだろう。政府はまた民間企業を救済するだろうが、そのことも国庫に巨大な重圧を加えることになる、

南アジアも例外ではなく、同じ状況に直面している。南アジアは新型コロナウイルスおよびパンデミック後の状況に対処するという大きな課題に直面している。その地域にとっての主要な憂慮すべき点は明らかに脆弱な医療システムである。死亡と感染についての日々のニュースは、効果的な公的医療システムが存在しないことによりさらに悪化したウイルスの恐怖を増大させてきた。これは、パンデミックの拡大で確実に増幅される貧困・脆弱さ・不安定・危険の広がりと結びついている。われわれが二カ月以上のロックダウンを終えるとき、陰うつな空気が周りをとり囲んでいる。

南アジアにおいては、この災厄はすでに存在している不安定さと危険を悪化させている。その地域の公的医療インフラは、過去三十年間以上にわたって猛威を振るった民営化のために、そのような規模のパンデミックに対応する能力を備えてはいない。南アジアは、医者、看護師、助産師、病床、プライマリ・ヘルス・センターなどを含めて、適切な医療水準にはまったく達してはいない。圧倒的大多数の人々は、公的医療・民間医療システムを利用できないでいる。それらは、より無責任なことに、新型コロナウイルスに感染した人々にドアを閉じ、彼らを病院に病原菌を運んでいるかのように扱った。このことは、特に女性や子どもたち、そしてその他の社会で不利な立場にあるグループが医療施設を利用するのを困難にした。

医療への脅威とは別に、南アジア全域で、何百万人もの移民労働者と日々雇用の労働者が、どうしようもない状態で、故郷から遠く離れて、金も食料も仕事もなく、不確かな未来を見つめながら、何カ月も足止めされていた。国際労働機関(ILO)によれば、世界の労働人口の半分近くにあたる十六億人が、自らの生活を破壊されるという差し迫った危険の中にいる。南アジアの地域経済は、世界の不安定労働人口の多くを供給しているので、そうした影響を不釣り合いなほど大きく受けるのは明らかだ。何百万人の労働者にとって、収入がないということは食料・安全・未来がないことを意味する。世界中の何百万という企業が辛うじて生き延びているが、より小規模なものはそうした差し迫った危機の時期に必要な資金にほとんど頼れない状況にある。自営業者や請負労働者もまた、自らの生活が消失するという差し迫った危険の中にいるのだ。

パンデミックによる多方面にわたる危険は、公的医療システムの再構築や、特にインフォーマル経済に就いている人々や弱い立場にある人々に対する、失業手当や生活補償を含む社会保障政策の強化によってのみ、立ち向かうことができるものである。このことは、過去四十年間に廃止されてきた社会部門への巨大な公共支出と投資を必要とするだろう。

南アジア経済への公的対外債務は、二〇〇九年から二〇一八年までの間に、三六六二億一〇〇万ドルから七三〇〇億六三〇〇万ドルにまで倍増し、そのことによって困難な状況がさらにひどくなっている。債務は、各国の支配階級との連携のもとで、国際金融機関(世界銀行やIMF)によって押し付けられたものである。よく知られているように、ほとんどの国は国家歳出の相当な割合を債務返済のために支出している。スリランカやパキスタンは、GDP比や歳入比でもっとも大きな債務を負っている。債務危機は、こうした国々の債務返済能力という点では、すでに悪い状況をさらに悪化させるだろう。南アジアそれ自身はすでにもっとも貧しい地域の一つだった。現在の債務危機の重荷が緩和されないなら、この地域の国々はより脆弱になり、債務の罠にはまるだろう。

現在の状況において、債務危機には自己増殖するという力学がはたらく。債務返済の増加と発展途上国における投資減退は、発展途上国から先進国への純資源移転という結果をもたらす。このことによって、国内資本形成が妨げられ、貴重な外貨収入が流出することになるだろう。

新型コロナウイルスのパンデミックに対する有効な闘いは、どんなものでも膨大な資金を必要とする。それゆえ、南アジア諸国の限られた資金は、国際的な債権者に返済するよりはむしろパンデミックと闘うために充てられなければならない。こうした環境のもとで、われわれは南アジア諸国のすべての不当な債務の帳消しを要求する。貿易・投資・開発を扱う国連機関であるUNCTAD(国連貿易開発会議)も、「南」の多くの国々の債務を帳消しにしなければならないと認識している。UNCTADはまた、債権国が将来において延滞金を請求できないまま、債務国が一方的に支払い猶予を宣言できることを明らかにしてきた。

強い力を持ち、多くのものを所有する階級の利益よりも、人民のニーズを優先するという発展の道筋を歩み始めることもまた必要である。そのような発展のための資金は、公的債務の帳消しを通じて生み出すことができるだろう。不当な債務、汚い債務、不法な債務を特定し、それらの返済不履行を要求するためには、市民監査もまた同様に必要である。必要性、環境の根本的変化、不可抗力の状態についての法的な議論は、そのような一方的な債務不履行を支援するために援用できるだろう。

われわれはまた、以下のことを要求する。

*すべての不当な債務を永久に帳消しにすること。それには、すべての南アジア諸国、とりわけ債務の重圧のもとで低い経済成長しか期待できない国の二国間債務、多国間債務、民間債務が含まれなければならない。
*債務の中で不当な部分を確定するための市民による債務監査委員会を作ること。
*市民はよりよい調査に使うための必要な情報を提供されるべきであり、それを優先順位の決定に使うべきである。
*南アジアの各国政府は医療システムを強化し、生活を防衛するために、債務軽減を通じて得られた追加的資金を用いなければならない。それは他の目的のために流用されるべきではない。
*各国がコロナウイルスの影響から完全に抜け出すまでは、住宅ローンやマイクロ・クレジットの返済を猶予すること。
*マイクロクレジット機関を、地元の人々による自主管理協同組合やゼロ金利あるいは超低金利で貸し付ける公的なクレジット・サービスで置き換えること。
*公共サービスの民営化をやめること。公的資金を民間部門の発展のために使うのを究極的目的とする官民パートナーシップの推進をやめること。
*この機会を大資産への累進課税を通じて国内歳入を増やすために使うこと。
*地域での国防予算を削減すること。
*IMFや世界銀行、その他の公的グループを含む国際金融機関は、南北間の不平等を本質的に拡大する現在の融資政策を根本的に転換するべきである。
*全体または一部を債務国が希望する通貨で返済できるような、ゼロ金利融資による(政府開発援助を除いた)追加緊急資金を「南」に供給すること。
*エリート層や富裕層、支配階級が「不法な手段で得た富」を接収し、それらを関係する人々にその管理のもとで返還すること。
*現在の形態での政府開発援助を、賠償や連帯の一部として、先進国が無条件に責任を持つ形態へと置き換えること。
*公正な移行のための政策を適用すること。

呼びかけ
南アジア貧困撲滅連合(SAAPE)
不当債務帳消し委員会(CADTM)南アジア

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