神戸製鋼石炭火力発電所・民事訴訟の第9回期日報告

2月16日に神戸地裁でおこなわれた神戸製鋼石炭火力発電所・民事訴訟の第9回期日の報告です。

神戸製鋼石炭火力発電所・民事訴訟 第9回期日
エネルギー政策の転換を妨げる原発と石炭火力発電

2月16日、神戸地裁で神戸製鋼石炭火力発電所・民事訴訟の第9回公判が行われた。この日は原告側が新たに提出した2つの準備書面について弁護人が概要を説明した。

最初に「差し止め請求における受忍限度論」について、従来の主張に加えて、そもそも本件の事業が事業性(経済性)の観点からも問題があることが指摘された。つまり、石炭火力発電のコストは、新規に建設する場合、設備の稼働率を80%、運転期間50年という現在の脱石炭の世界的流れから考えれば、あり得ない想定で試算した場合でも、再生可能エネルギーによる発電のコストを上回り、より現実的な想定(稼働率50%、運転期間30年)では現在の市場価格を大幅に上回ってしまう。したがって被害の防止や補償のためにさらにコストをかけるのは不可能である。また、被害防止の措置として考えられているCCS(CO2回収・貯留)技術についても、たとえそれが技術的に可能になったとしても、神戸周辺に二酸化炭素を埋蔵できる場所は存在せず、埋蔵可能と想定されている場所(中国地方の日本海側?)までパイプラインで移送するか、凝固させて船で運ぶしかない。これはコストや住民感情を考えれば非現実的である。

もう1つの書面は「共同不法行為に基づく差し止め」について。要するに「環境への影響は神戸製鋼の単独の責任ではないので、差し止めを命じることはできない」という議論を退けるための法的根拠についての主張である。複数の企業からの排出物質によって健康被害が発生する場合、住民がそのような被害を回避するためには、それらの企業の内の1つに対する差し止めを請求することができなければならない(すべての企業に対して訴訟を起こすことは住民にとって負担が大きすぎる)。ある企業が差し止めを命じられた場合に、同じ排出物質を発生させている企業の間で、それぞれの寄与分に応じて削減の責任を負うことになる。この「共同不法行為」の考え方は被害の補償においては法的にも確定しており、この考え方が被害予防の責任にも適用されるべきである。

DSC_0307.JPG

公判後の期日報告会では、期日報告の後、「ミニ学習会」として浅岡弁護士が昨年末から今年初めにかけての日本における「脱炭素」をめぐる動きについて、経産省、環境省などの資料を基に解説し、課題を明確にした。「2050年の目標」を掲げるようになったのは前進だが、そこに到達するための2030年まで、そして2040年までの目標がない。エネルギー政策については依然として原発と石炭火力に依存することを想定している。CCS技術や水素、アンモニアなどの利用(イノベーション)ばかりが強調されている。このままでは世界の動きに取り残されてしまう。この裁判がますます重要になっている。

次回公判は4月27日午前10時半から。今後の流れとしては9月ごろに証人調べを集中的に行い、年内に結審か?

この記事へのコメント