「すべての人に解放を」:ウクライナの抵抗、反帝国主義、そしてグローバルな連帯〜ウクライナ社会運動メンバーへのインタビュー

ウクライナ社会運動のメンバーのインタビューを紹介します。ウクライナ左翼における一つの立場として、世界の自決を求める運動との連帯を訴えています。

<掲載されたサイトのまえがき>
 
左翼であるウクライナ社会運動のウラジスラフ・スタロドゥブツェフが、独占インタビューで、ロシアによる戦争に対する抵抗、世界の闘いとの連帯、左派政治における一貫した反帝国主義の重要性について論じている。
 
ウラジスラフ・スタロドゥブツェフは、キエフを拠点に活動する歴史専攻の学生で、労働者階級の組織化を目的とする民主主義的社会主義組織であるウクライナ社会運動のメンバーである。
 
この運動は、反資本主義的で民主的なプログラムを推進するために、伝統的な労働組合とともに活動しながら、新しい独立労働組合を組織している。
 
ウクライナ社会運動はまた、ゼレンスキー大統領が推し進める新自由主義的改革に反対を唱え、女性やLGBTQ+の権利を守り、環境破壊や気候変動と戦い、政府や右翼組織が扇動する外国人嫌悪やレイシズムに反撃するために活動している。
 
彼らはまた、ロシアの侵攻が始まって以来、抵抗運動の中で行動的な役割を担ってきている。
 
彼らは、依然としてスターリニズムの過去の重荷のもとにある国において、社会主義を提唱することのさまざまな困難を克服しながら、ウクライナの社会主義運動の歴史、批判的理論の翻訳、ウクライナの経済と社会に関する独自の分析などの発表を進めている。
 
『新しいアラブ』の寄稿者であるシモン・ロドリゲスは、スタロドゥブツェフに自らの社会主義運動の経験、現在進行中のロシア侵攻、他の運動との国際連帯について話を聞いた。

「すべての人に解放を」:ウクライナの抵抗、反帝国主義、そしてグローバルな連帯
2022年4月14日
ポラス・シモン・ロドリゲス、ウラジスラフ・スタロドゥブツェフ

シモン・ロドリゲス(SR):侵攻開始から1カ月が経ったが、街頭での雰囲気をどのように感じているのか?
ウラジスラフ・スタロドゥブツェフ(VS):侵攻の最初の数日から、人々は非常に戦闘的だった。軍隊への登録・入隊の窓口には、3時間から5時間も行列に並ばないとたどりつけない状態だった。現在でも同じような雰囲気が至るところで相当感じられる。誰もが助けたいと考えている。安全なところにいる人々はたいてい生存者としての何らかの罪悪感を持っている。
 
人々はあらゆる可能な方法で組織化し、ボランティア活動に参加している。組織化のレベルは非常に高いので、解放戦争中の大衆の動員が共通の大義への帰属意識をいかに強めるのか、そして解放は指導者だけの任務ではなく、全員の任務であるとフランツ・ファノンが『地に呪われたる者』で書いたことを本当に実感している。
 
キーウは他の都市とともにミサイル攻撃の標的になっており、そのほとんどが民間の建物に落下している。空襲警報が日常の一部になった。しかし、キーウでの生活は安定していて、人々は破壊された建物や空を飛ぶロケット弾を見ることに慣れただけなのだ。民衆は勝利を確信し、見たこともないようなエネルギーに満ちている。

SR:ウクライナ社会運動はどのようにレジスタンス活動に参加しているのか?

VS:私たちは、ウクライナ防衛のための軍事行動を支援している。私たちはまた、総動員に参加し、軍や地域防衛隊に入隊し、さらに人道支援活動にも参加して、難民の住居、物資、輸送を支援し、医薬品を見つけ出してはそれを必要としている人々に配達し、労働組合と直接協力して、とりわけ医療労働者と協力して活動している。
 
同時に、私たちは、政府が戦争という状況の中で進めている社会・経済改革にも反対している。現時点ではストライキが違法とされているため、新自由主義的改革に反対することは困難だが、私たちは労働者の権利の制限に対して、他の消極的抵抗の方法を追求している。たとえば、戦争を利用してさらなる搾取を推し進める企業リストを収集している。私たちの弁護士は、この複雑なシナリオの中で労働者が自分たちの権利を守るのを助けるために懸命に働いている。
 
私たちはまた、短期的にも長期的にも、抵抗運動と復興努力を効果的に支援するための重要な方法として、ウクライナの対外債務の帳消しを求めるキャンペーンをおこなっている。これがなければ、戦後のウクライナは債権者に植民地的に依存したままとなり、強力な経済を構築する機会もないまま、IMFの政策に服従することになるだろう。
 
私たちは、このキャンペーンが、新たな経済国際秩序の創出に関する一般的な議論に貢献することを願っている。そうした秩序においては、各国は破壊されることなく、新自由主義的改革や支払い不可能な債務によって、新植民地的な従属的地位に置かれることもないだろう。

SR:最近、ウクライナの左翼と自称する政党の中には、親プーチン的な立場のために活動を停止させられたものがある。これは、抵抗闘争に参加している左翼組織にとって脅威となるだろうか?

VS:こうした親プーチン政党の活動停止は、明らかに[ロシアへの]協力者ではない真の社会主義組織にとって直接的な脅威にはならないが、こうした行動や右翼的な言説は、左翼がクレムリンの代理人であるという考えを押し付けることになり、それは実に危険である。
 
この措置は左翼一般に向けられたものではないが、こうした連想や言外の意味がそこにある。国際的な陣営主義者や偽の反帝国主義左翼の活動のために、多くの人々が左翼とプーチン支持を何らかの形で結びつけて見ている。
 
この制裁を受けた政党の多くは過激なロシア民族主義綱領を持ち、その中には反ユダヤ主義、同性愛嫌悪、レイシズム、性差別主義などの要素が含まれている。そのメンバーの中にはプーチン政権と直接つながっている者もおり、実際には社会主義とは何の関係も持っていない。
 
また、極右の問題もある。彼らの影響力は親プーチンのアナリストによって大きく誇張されているが、極右の力は非常に限定的なので、政府に政策を押し付けるほどではないことは確かだ。しかし、侵略に対する武装闘争に参加することで一定の正統性を得ており、政府は彼らの行動の一部を黙認している。極右の伸長を止めるには、ロシアの侵略を止めなければならない。

SR:西側諸国の左派の一部は、プーチンを支持したり、「どちらでもない」立場を採用したりしている。これにはどう対応しているか?

VS:私たちの闘いは、反植民地主義、反帝国主義、そして反ファシズムの闘いである。私はアルジェリア独立闘争の場合との類似点があると考えている。その際に、左翼の一部は、教条主義的な議論の背後に自らのレイシズムを隠して、フランスを支持した。ウクライナ人民は、自らの権利が自分自身のものとなるように戦っており、独立して発展するために戦っている。これはアメリカとロシアの戦争ではない。
 
侵略のイデオロギー的基盤は、ロシアの過激なエスノナショナリズムであり、領土回復主義である。ロシア帝国主義は、「独立ウクライナ」か、それとも「強いロシア」か、という板挟みにあっている。彼らは自らの帝国を再建したいのだ。ロシアの公式メディアは、この戦争がいかに恐るべきファシスト的イデオロギー要素にもとづいているかを示している。
 
プーチンは、ロシア人はウクライナ人民の主人かつ創造者であり、それゆえウクライナ人民はその存在を終わらせることができると語っている。彼は、西欧に対してロシア世界を統一するという考えを追求している。左翼の中には、反米第一主義やスターリン時代のソ連に対する隠れた郷愁のために、これを魅力的だと感じるグループもいる。
 
したがって、私は、ウクライナ紛争でNATOに主要な役割を与えることは、責任逃れのマヌーバーだと考える。フセインの国際的な同盟関係にもとづいて、アメリカのイラク侵攻を帝国主義間[戦争]だと考えた者は誰もいなかった。その理由づけはこの戦争では当てはまらない。

SR:ウクライナの抵抗闘争と自決のためのその他の闘いとの間に関連性を見いだせるだろうか?

VS: ウクライナには、独立と自決のために戦ってきた長い歴史がある。1917年と1991年は、ウクライナがそれにもっとも近づいた時期だったが、それでもウクライナは経済的、文化的、政治的にロシアの影響圏にとどまっていた。
 
ウクライナ人はロシア人の弟分であるという考えからの抜本的な脱却は、ロシアのブルジョアジーと国家エリートたちを怒らせた。彼らは1991年のあとでも、ウクライナを自分たちの裏庭とみなしていたからである。2014年のウクライナでの革命は、腐敗した親ロシア政権を打倒したが、ロシアとの最終的な決別だった。
 
パレスチナ人は、生存権やみずからの故郷を守るために同じような闘いを戦っている。ロシアの侵攻に対するイスラエルのあいまいな回答は、植民地支配者が互いに共感しあう傾向があることを示している。クルド人も自決権を求めて、同じような闘いを戦っている。私たちは、シリア人とともにロシア帝国主義に対して一緒に戦っている。ロシア帝国主義は、マリウポリや他のウクライナの都市を爆撃するのと同じようにシリアの都市を爆撃しているのだ。
 
そのような訳で、私たちは、帝国主義に対して自決を求めるあらゆる人々を一貫して支持しなければならない。私たちは、すべての人の民主主義と解放のために立ち上がり、中国、アメリカ、ロシア、ヨーロッパの帝国主義と植民地主義に反対しなければならない。
 
そうした方向の不可欠な部分として、私たちはすべての難民を差別なく受け入れるよう声を上げなければならない。この戦争という状況において、ヨーロッパ諸国の中には、ウクライナ人難民だけを受け入れ、シリア人やアフリカ・中東からの他の難民の入国を拒否するという差別的な法律を通そうとする政府がある。このようなとりくみは有害であり、大きなレイシズムを示している。すべての人々が同じ扱いを受けるに値するし、同じ権利を持っているのだ。

SR:国際連帯のニュースは、ウクライナにどのような影響を与えるだろうか?

VS:国際的な連帯は、この厳しい時期にウクライナ人の士気を高めてくれる。ロシア船を阻止する労働者のニュースはウクライナのメディアで流され、大きな連帯を示すものとなった。
 
ロシアにおける反戦抵抗運動は、残念なことにあまり広く認識されていない。戦争はいつも社会に、とりわけ中産階級に排外主義的な考えを押し付けるが、ロシアとウクライナも例外ではない。多くのロシア人が侵略を支持したが、ウクライナもロシアと同様のメディア空間を共有しているため、そのことを容易に目にすることができる。
 
私たちは、ロシアで帝国主義やプーチン主義に反対している同志や、制裁やウクライナへの武器送付を訴える同志、とりわけロシア軍を妨害している同志を支持する。残念ながら、この運動は、一方ではプーチンの弾圧機構のために、もう一方では愛国的興奮のために、非常に周縁化されている。
 
私の考えでは、ウクライナの抵抗運動が勝利すれば、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンの権威主義体制は不安定になり、民主的権利を求める闘いが強化され、世界中の自決のための闘いを鼓舞することになるだろう。

(シモン・ロドリゲス・ポラシスは、ベネズエラの社会主義者・作家。著書に『チャビズモはなぜ失敗したのか』があり、Venezuelanvoices.orgの編集者でもある。)

出典は、http://www.europe-solidaire.org/spip.php?article62137

この記事へのコメント