6月13日に始まったイスラエル軍によるイラン攻撃に対して、クルド人左派組織の統括組織であるクルディスタン民主共同体連合(KCK)と、イラン/東クルディスタンを拠点とするクルド自由生活党が出した声明を紹介します。
クルディスタン民主共同体連合は、トルコのクルド労働者党(PKK、今年5月に解散を決定)、イランのクルド自由生活党 (PJAK)、シリアの民主統一党(PYD)、イラクのクルド民主解決党(PÇDK)を傘下に持つ、クルド左翼をまとめている組織(2005年結成)で、その指導者であるアブドラ・オジャランは1999年以降、トルコ政府によって終身刑を宣告され獄中にあります。
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クルディスタン民主共同体連合(KCK)
戦争による解決はありえない
昨夜(6月13日)、イスラエルはイランに対する広範な空爆作戦を開始した。残念なことに、この攻撃は、2023年10月7日にエスカレートし、すでに人々に大きな被害をもたらし、破壊と大きな苦しみをもたらしている戦争をさらに深化させた。国家が権力・権威・覇権のために展開する戦争は、いかなる問題も解決せず、ただ人々に大きな害をもたらすだけである。その唯一の結果は、大きな苦しみ、死、損失、破壊である。戦争が何も解決せず、既存の問題を深化させ、悪化させるだけであることは、1世紀以上にわたって絶え間なく戦争が続いてきた中東の歴史が十分に証明している。私たちは、人々に多大な被害をもたらしたこの戦争を非難する。戦争はいかなる解決策を生み出す方法でもないことを、誰もが理解しなければならない。戦争政策は放棄されなければならない。
クルド人の自由運動として、私たちはこの歴史的現実と真実を認識して行動する。私たちは、現存するすべての問題は民主政治によって解決することができ、また解決しなければならないと信じている。クルド人の指導者アブドラ・オジャランが提唱している民主的交渉の方法のように。私たちはすべての人に、この理解に基づいて理性的に行動するよう呼びかける。戦争という戦術を放棄し、代わりに民主政治・対話・交渉の道を切り開かなければならない。
中東における問題の解決は、民主的近代と、クルド人指導者アブドラ・オジャランが提唱する『民主国家』の概念によってのみ達成されることを、私たちは再確認する。資本主義近代の単一民族国家の概念と、権力・権威・覇権への貪欲さでは、権利・信念・文化の色とりどりの庭のようであった中東に平和な生活を築くことは不可能であることは証明された現実である。100年以上にわたって追求されてきたこの理解は、中東を大きな袋小路に追い込んでいる。クルド人の指導者アブドゥラ・オジャランが、中東におけるこの歴史的な行き詰まりを克服するために多大な努力を払っていることはよく知られている。彼が2025年2月27日に発表した「平和と民主社会のための呼びかけ」は、この歴史的な行き詰まりを克服することを目的としている。深まる戦争とそれが人々にもたらした被害は、この歴史的呼びかけの重要性を改めて浮き彫りにしている。この歴史的現実に基づき、私たちは国民、とりわけ女性、そしてすべての民主的・社会的勢力に対し、クルド人の指導者アブドラ・オジャランとその歴史的呼びかけに対する理解をさらに深め、組織を強化し、民主的解決策を発展させるために固く団結するよう呼びかける。
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クルド自由生活党(イラン): イランとイスラエルの対立について
2025年6月13日以降、イスラエルはイラン・イスラム共和国の核施設、軍事施設、司令中枢に対する激しい攻撃を開始し、イスラム革命防衛隊(IRGC)に関連する施設や人物をが標的とされた。その後のイスラエルに対するイスラム共和国の報復攻撃は、その致命的な攻撃を抑止するには不十分である。この戦争は、世界の権力体制からイラン政権への最終通告であり、政権が完全に再編され無力化されるまで続くだろう。
これは間違いなく短期的なプロセスではなく、「新中東」プロジェクトを実行するための重要な部分である。このプロジェクトは、イスラム共和国による処刑・抑圧・差別・腐敗・貧困・絶望といった政策の結果である。これらの政策は、イランにおける深い大衆的な憤りをもたらし、イラン社会を現体制に対する根本的な反対・拒否の姿勢へと駆り立ててきた。
イラン人民が政権の弱体化を喜んでいるからと言って、彼らが戦争の結果にすべての望みを託しているわけではない。これは権力による戦争、対立する利害間の戦争であり、民族解放戦争や国家を解放する戦争ではない。この戦争は支配者が始めたものであり、その代償は、すでに社会的・経済的危機に苦しんでいる人々に負わされている。今回の攻撃でイランとイスラエルの民間人、特に女性や子どもに多数の死傷者が出たことは、国家が人々の命にほとんど価値を置いていないという厳しい現実を浮き彫りにしている。
イラン人民は、戦争か、それとも独裁政権を受け入れるのかという二者択一を強いられるべきではない。クルディスタン自由生活党(PJAK)は、イラン人民への戦争の押しつけに反対し、民主的闘争の原則を強調する。イランに自由をもたらすのは、人民の民主的闘争であり、独自の「女性・命・自由」革命(注)である。われわれの民主革命の目標を達成するためには、自由を求める人々、民主勢力、民族闘争者、女性、アイデンティティ運動の団結と協力が必要であることは間違いない。
この重大かつ決定的な局面において、私たちは、クルディスタンにおけるクルド人政党の協力、および政党に基づく支配から民衆による自治への移行を歴史的な責務とみなしている。私たちは、(イラン女性を先頭とする)すべての勢力・政党・市民社会組織に「女性・命・自由」革命の新たな局面を開始することを呼びかける。私たちは、その開始を支援する用意があることを宣言する。
私たちは、イラン民主共和国への移行には、視点を転換し、権力追求、民族主義、家父長制、中央集権主義から脱却することが必要であると信じる。われわれは、いかなる形態の弾圧や虐殺の脅威からも、われわれの人民とイランの他の人民を守る義務を確認する。われわれは、われわれの権利と存在の正当な自衛の枠内で、この義務を果たす。
私たちは、イランのすべての人々、とりわけクルディスタンの人々に、民主的で民衆的な組織の中で組織化するよう呼びかける。完全な連帯によって、戦争の破壊的な影響を最小限に抑えることができる。自主管理された民主的な社会を構築するための重要なステップには、戦争犠牲者のための支援グループの結成、地方救援委員会や財政協力委員会の設立、国家傭兵の住民への浸透防止などが含まれる。この点で、私たちはすべての愛国者、自由を求める者、わが党員に私たちとともに参加するよう呼びかける。
(注)「女性・生活・自由」革命
2022年9月、マフサ・アミニ(22歳・女性)が女性に義務付けられている髪の毛を覆うヘジャーブの着用の仕方が不適切だとして道徳警察に逮捕・拘束され、その3日後に死亡したとことを契機として、イラン全土で「女性・生活・自由」をスローガンとする抗議行動が展開された。
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