環境・社会を問い直す 生き続けるには(4)

突然ですが、「消費は罰を受けるべき か 否か」どう思いますか? これに類する問いが、さる政党が消費税を批判する為に、政見放送で繰り返し発せられていました。「消費税は消費に対する罰(になる)」が、彼らの主張でした。私としては「罰か否か」は、おもしろい問いかけになると、興味をひかれた次第です。ただ、これだと「消費が罰を受けるべきか」と「税は罰か」の2つの議論が成立してしまいます。ですので、まずは前者から。

生物は、どんなかたちであれ、「消費」し続けないと生きてはいけません。「消費が罪」だとすると、「生きていること自体が罪だと言うのか」と反発を招きかねません。ですが、結論から言うと、かの政党の主張とは逆に「罰を受けるべき」が私の意見です。加えて「量に対して、より以上(累進的)に」「内容に対して、より差別的に」です。ただし、あくまでも現状のヒトの経済活動を前提とするならば、です。「消費は罪か」の問いかけは、この連載のテーマである「生き続ける(為の条件)」と、密接に関連します。といいますのは、「消費」に伴って「生産」「廃棄」「資源調達・資源開発」・・・が行われす。そのいずれの過程でも、深刻な環境加害を与えているからに他ありません。現状のヒトの経済活動においてはですが。「循環型社会」などと称して、解決策を提案しているかの様な説明がされています。ですが、その意味するところは、ヒトの経済・管理下(人間界)の中に入ったモノの循環でしかありません。それも、資源の有効利用という意味では、疎かにしてはならない問題だとしても、ヒトを含めて「生き続けられるか」とは別問題です。「生き続けられること」を担保する条件は、「ヒトの経済・管理下(人間界)の外に出たモノが、無害なかたちで元に戻る循環」ができるかが問われるのです。その循環を壊したことの極一部が環境問題として認識されているにすぎません。たとえば、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出(量)、フロンガスなどのオゾン層破壊、プラスチックス汚染、ネオニコチノイドなどの農薬汚染、放射性廃棄物汚染、野生生物の生息環境の破壊・・・。一方、いわゆるリサイクルなど人間界の中での循環は、資源の有効利用になっても、その過程で人間界の外に出す被害を増やすならば、「生き続けられること」に関しては逆効果です。プルトニウムの再利用などその最たるモノです。再処理すれば汚染物を増やします。再処理しなくても、10万年も管理し続けるのは事実上不可能なので、この様な汚染物は作らないに越したことはありません。昨今では、SAF(持続可能な航空燃料)などが盛んに広告されていますが、いかに大量に使われているとは言え、使用済みの食用油で、航空機の燃料を賄うほどの量はありません。それ以上に大量の加工用食用油の使用に伴う問題です。アブラヤシから採るパーム油などが原料ですが、その生産の為の開発はインドネシアやマレーシアなどの熱帯林破壊をもたらします。破壊に伴う生態系破壊はもとより土壌の劣化や蓄積炭素の放出、火災や泥炭地開発がもたらす気候変動(地球温暖化)への影響、開発に伴う人権侵害、アブラヤシ農園での劣悪な労働環境などが指摘されています※1。「廃食油利用」だけを切り取れば節約になったとしても、原料のライフサイクル全体で見れば、膨大な自然破壊と地球温暖化促進の一部というわけです。トウモロコシや大豆などの他の植物油でも別の問題があります。アブラヤシ以上の農地面積が必要な上(パーム油は他の植物油に比べて収油率が良い為)、地下水位の低下や遺伝子組み換え作物(に伴う遺伝子汚染)などです。同様にバイオマス利用、とりわけ、再生可能エネルギーの一つとして導入が進められてきたバイオマス発電についても、かえって温暖化を促進する逆効果になります※2。バイオマスをその地域で再生産を管理でき状況で利用するなら問題が少ないのですが、発電に大量の燃料が必要になると、燃料の多くは海外からの輸入になります。需要の急増にともなって、貴重な天然林が伐採され、生物多様性が破壊され、土壌からの放出を含めて、CO2排出量の方が上回ってしまいます。その上、森林が再生するとは限りませんし、再生されても劣化は免れません。更に発電に伴う排ガス公害も問題になります。石炭よりも不純物が多いわけですから。加えて、国内でも、盗伐の促進にも繋がります※3。

ほぼ全てのヒトの経済活動は、地球破壊に貢献しますが、罰を受けるどころか、いわゆる経済価値を高めるので利益と良い評価を受けることになります。地球加害で利益を得た者がその影響力を行使して、より以上に「加害者が利益を生む経済の仕組み」に変えようとします。更に、環境加害を増すことに、「環境によい経済活動」と騙して公金を使わせます。そして、更に利益を得て政治的影響力を増やし・・・、この悪循環が環境悪化のメカニズムです。では、消費税の様な「罰」を与えれば良いかといえば、逆効果に成ります。いわゆる逆進性の問題です。使うお金の量に比例して罰(税)が増えますから、加害量の多い(可能性の高い)裕福な人ほど罰が軽く、加害量の少ない人ほど重い罰になってしまいます。一方、経済活動の内容によっても、環境加害の悪質性が変わります。生産活動でも消費税がかかりますが、使ったお金の量が同じ場合、悪質性を増して手っ取り早く儲ける人(企業)の方が有利になり、コストが増しても環境配慮をするほど不利なります。では?
(以上、特定の読者向けに、2025年8月22日に記した文章を元に再構成しました。)

※1: WWFジャパン ウェブサイト:パーム油の問題とは?私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの 2019/10/16
※2: FoE Japan/ブログ/バイオマス/
※3: 田中敦夫「盗伐 森林現場からの警鐘」 2025.新泉社

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